歯科医院での4本抜歯体験談

私は幼少期から歯並びが悪く、口元が全体的に突出しているために口を閉じるにも常に力まなくてはならず、慢性的な頭痛に悩まされていました。話題の芦屋の根管治療を探すとどこに行ってもとはそのため歯列矯正を検討していたのですが、カウンセリングを受けるたび、「その歯並びを矯正するには上下4箇所すべての5番目の歯を抜く以外に方法がない。」と言われ、健康な歯を抜くことに非常に抵抗を感じて見送っていました。しかし、アラサーになってますます口元が突出してきたように感じ、矯正を始めるなら今しか無いと決意し、抜歯矯正をすることにしました。全国のおすすめ歯科医院のことはここにそうしてお世話になることになった矯正歯科医院の先生から、まずは抜歯のプロフェッショナルがいる歯科医院で抜歯してくださいと紹介を受け、とある歯科医院を訪れました。緊張している私に、貫禄のある60代くらいの院長は「今日4本とも抜いちゃえるけど、どうする?」と、まるでシャンパンでも抜くかのような軽い口調で私に問いかけました。抜歯矯正のリスクについて散々調べ尽くした結果、「つまるところ人それぞれである。」という結論に至り、何が起きても運命なのだと腹を括ってはいましたが、さすがに健康な歯を4本同時に抜く度胸はありませんでした。1本だけなら何かあっても傷は浅いだろうという気持ちも手伝って、「1本だけにしてください。」とお願いし、その日は右下の1本だけ抜くことになりました。麻酔が効いてきた頃、ついに診察台の背もたれが倒されました。私の不安と恐怖はピークになり、これまでの人生について思いを馳せ、両手を強く握りしめました。いよいよ抜歯です。頭にライトをつけた院長がやってきて、慣れた手つきで私の口の中にカチャカチャと器具を入れていきます。「じゃあ、抜くね。」と言われ、私は小さく頷きました。その直後、想像以上の力で歯を引っ張られたのです。麻酔が効いているため痛みはありませんが、大きな何かで歯を挟み、ぐいぐいと引っこ抜こうとしていることは分かりました。ぎぃぎぃと生々しい音が聞こえます。院長が両手で一生懸命引っ張っています。昔何かの漫画で見た、無理やりペンチで歯を抜かれるシーンを想像してしまい、恐怖のあまり目をぎゅっと瞑り、ひたすらこの状況が早く終わることを願いました。しかし、一向に終わりません。院長が一旦作業を中断し、「抜けないなあ…。」とポツリと呟きました。私の不安は一気に増幅しました。「抜けないってどういうこと?」と。すると院長は、「君の歯は根本が深くてしっかりしているんだね。もう一回するよ。」と言い、再び器具を口の中に入れて力をかけました。始めてから何分経ったのか分かりません。でももう途中から私はどうにでもなれという気持ちでした。とにかく早く抜けてほしい、院長頑張って、と思っていました。そしてついに、院長の「ふん!」という掛け声とともに、すぽっと歯が抜けた感覚を覚えました。はずみで目を開けると、額に汗が光る院長のほっとした顔が見えました。私はもう放心状態でした。痛みはありませんでしたが、どくどくと血が出ていることが分かります。止血の綿を詰められ、診察台に座って安静にしているうちに、「ついに一本抜いてしまった、もう先へ進むしかない。」と冷静さを取り戻し、家路につきました。人によっては大きく腫れたり熱が出たりするとのことでしたが、幸い我慢できる範疇の痛みだけで、出血もすぐに止まりました。1本目から強烈な抜歯だったことで耐性がつき、早く終わらせたいという気持ちから翌週には残りの3本をまとめて抜いてもらうことにしました。下の歯は左側もやはり抜くのを苦労されていましたが、上の2本は簡単に抜け、トラブルもなく、無事に矯正を始めることができました。健康な歯を4本も抜いてしまうということに抵抗を感じる人は少なくないと思います。歯科医の方は「4番目・5番目は無くても支障のない歯だから。」と簡単に言いますが、こちらにしてみれば「必要だから人体に備わってるんじゃないの?」と不安になってしまう訳です。しかし、抜いた歯1本分口元が後ろへ移動するにつれ、あんなに悩まされていた頭痛がすっとなくなり、歯並びが身体にもたらす影響というものを改めて実感しました。初めのうちこそ咀嚼しづらかったですが、抜いた歯のスペースが埋まるとともに違和感も消えました。今は勇気を出して抜歯をして良かった、と心から思っています。