2025年7月
-
口臭が気になるなら重曹うがいを試す
マスク生活が長引く中で、自分の口臭が以前よりも気になるようになったという方は多いのではないでしょうか。口臭の原因は様々ですが、その多くは口の中に潜む細菌が作り出す「揮発性硫黄化合物」というガスによるものです。このガスは、剥がれ落ちた粘膜の細胞や食べカスに含まれるタンパク質を細菌が分解する過程で発生します。特に、舌の表面に付着する白い苔のような「舌苔(ぜったい)」は、細菌や食べカスの温床となり、口臭の大きな原因となります。こうした生理的な口臭に対して、重曹うがいは非常に効果的なアプローチとなり得ます。重曹、すなわち炭酸水素ナトリウムは、口臭の原因となる酸性の物質を、その弱アルカリ性の力で中和する働きがあります。強い香料で臭いをマスキングするのではなく、臭いの元となる物質そのものに働きかけて分解し、無臭化してくれるのです。これにより、根本的な口臭の軽減が期待できます。また、重曹にはタンパク質を分解する性質もあります。この作用によって、舌苔を構成しているタンパク質を緩め、除去しやすくする効果も期待できます。歯磨きの前に重曹水でうがいをすることで、舌ブラシなどを使った際の舌苔の清掃がより効果的に行えるようになります。やり方は簡単で、コップ一杯の水に食用の重曹を小さじ半分ほど溶かし、口に含んで三十秒ほどしっかりとすすぐだけです。特に、唾液の分泌が減って細菌が繁殖しやすくなる就寝前や、朝起きてすぐのタイミングで行うと、その効果を実感しやすいでしょう。もちろん、重曹うがいは万能ではありません。歯周病や進行した虫歯、あるいは内臓疾患が原因の口臭には、専門的な治療が必要です。しかし、日々のエチケットとして、手軽で安全な重曹うがいを試してみる価値は十分にあると言えるでしょう。