歯医者に関する驚きの科学

2025年7月
  • 様子見と言われたら始めるべき歯の守り方

    医療

    歯科医院で「小さい虫歯なので、治療はせずに様子を見ましょう」と告げられた時、それは決して「何もしなくていいですよ」というメッセージではありません。むしろ、それは「これ以上虫歯を進行させないように、今日からあなた自身で歯を守る努力を始めてください」という、歯科医師からの宿題であり、期待の表れなのです。では、具体的に何を始めれば良いのでしょうか。まず最初に見直すべきは、毎日の歯磨きで使う「歯磨き粉」です。虫歯予防に絶大な効果を発揮するフッ素。その濃度に注目しましょう。現在、市販されている歯磨き粉の多くは、高濃度のフッ素(1350~1450ppm)を含んでいます。こうした製品を選ぶことで、歯の再石灰化を強力に促進し、歯質を強化することができます。また、歯磨きの後のうがいは、少量の水で軽く一回だけにするのがポイントです。口の中にフッ素成分を長く留めておくことで、効果を最大限に引き出せます。次に、ブラッシングの質を高めることです。歯科医師や歯科衛生士から指摘された、磨き残しの多い場所を特に意識して、歯ブラシの毛先をきちんと当てることが重要です。そして、歯ブラシだけでは届かない歯と歯の間のプラークを除去するために、デンタルフロスや歯間ブラシを毎日の習慣にしましょう。どんなに丁寧に歯ブラシを当てても、歯と歯の間の汚れは約四割も残ると言われています。この部分のケアを始めるかどうかが、虫歯の進行を食い止める大きな分かれ道となります。最後に、食生活の改善です。虫歯の最大のリスクは、糖分をだらだらと摂取し続けることです。間食の回数を決める、甘い飲み物を水やお茶に変えるなど、口の中が酸性になる時間をできるだけ短くする工夫をしましょう。これらのセルフケアを徹底すること。「様子見」という期間は、自分の歯と向き合い、正しいケアを身につけるための絶好のチャンスなのです。