歯医者に関する驚きの科学

2026年1月
  • クインケ浮腫という突然の唇の腫れの正体

    医療

    痛みもかゆみもなく、ただ唇だけが境界不明瞭に、しかし劇的に腫れ上がる。数時間から数日で、まるで何事もなかったかのように跡形もなく腫れが引いていく。もし、このような奇妙な腫れを繰り返しているなら、それは「クインケ浮腫」かもしれません。血管性浮腫とも呼ばれるこの症状は、皮膚の深い部分、真皮深層から皮下組織にかけて、局所的にむくみ(浮腫)が起こる病態です。一般的なじんましんは皮膚の浅い部分で起こるため、赤みやかゆみを伴うことが多いのに対し、クインケ浮腫は深い部分で起こるため、かゆみはなく、皮膚の色も正常なことが多いのが特徴です。唇やまぶたなど、皮膚の柔らかい部分に好発し、片側だけが腫れることもあります。その原因は、アレルギー性のものと非アレルギー性のものに大別されます。アレルギー性の場合は、特定の食品や薬剤などが引き金となり、アレルギー反応の一環として発症します。この場合は、原因物質を避けることが最も重要です。一方で、原因がはっきりしない非アレルギー性の特発性のものも多く、疲労やストレス、気圧の変化などが誘因となるとも言われています。また、まれに遺伝性のものや、降圧薬(ACE阻害薬)の副作用として現れることもあります。ほとんどのクインケ浮腫は、唇やまぶたの腫れだけで済み、数日で自然に消退するため、命に別状はありません。しかし、注意しなければならないのは、この浮腫が喉の粘膜、つまり喉頭に発生した場合です。喉頭が腫れると気道が狭くなり、呼吸困難を引き起こす危険性があります。もし、唇の腫れに加えて、声のかすれ、息苦しさ、喉の違和感などを感じた場合は、ただちに医療機関を受診する必要があります。原因不明の腫れを繰り返す場合は、一度、皮膚科やアレルギー科で相談し、自分の症状がどのタイプにあたるのかを診断してもらうことが、適切な対処と安心につながります。