美味しいものを目の前にすると、つい急いで口に運んでしまいがちです。特に、ラーメンやグラタン、たこ焼きといった熱々の料理は格別ですが、この時に注意したいのが上顎の火傷です。口の中の皮膚、特に上顎の粘膜は非常にデリケートで、熱い食べ物や飲み物によって簡単に火傷してしまいます。この火傷が、後につらい口内炎へと発展するケースは少なくありません。熱いものを口に入れた瞬間、「アツッ」と感じて上顎の粘膜がヒリヒリしたり、赤くなったりした場合、それは軽度の火傷を負ったサインです。この時点ではまだ口内炎ではありませんが、粘膜のバリア機能が低下し、非常に傷つきやすい状態になっています。この傷ついた粘膜に口の中にいる細菌が感染したり、さらに食事で刺激が加わったりすることで、炎症が悪化し、数日後に典型的なアフタ性口内炎が形成されるのです。火傷が原因の口内炎は、一般的な口内炎よりも治りが遅くなる傾向があるとも言われています。火傷によるダメージと、その後の炎症が重なるためです。これを防ぐためには、まず火傷をした直後のケアが重要です。すぐに冷たい水を含んで口の中を冷やし、炎症を鎮めるようにしましょう。そして、その後数日間は、特に口の中を清潔に保ち、刺激の強い食べ物を避けることが肝心です。香辛料や酸味の強いもの、硬い食べ物は控え、柔らかく栄養のある食事を心がけ、粘膜の回復を助けましょう。もちろん、最も大切なのは火傷をしないことです。熱いと分かっている食べ物は、一度小皿に取り分ける、フーフーと息を吹きかけて十分に冷ますといった、ほんの少しの注意が、後々のつらい口内炎を防ぐことに繋がります。美味しさを存分に楽しむためにも、焦らず、一口一口を大切に味わう習慣をつけたいものです。