歯医者に関する驚きの科学

医療
  • 力を抜く歯磨きがもたらす良い変化

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    私は長年、歯磨きとは力仕事だと思い込んでいました。食事の後に歯ブラシを強く握りしめ、ゴシゴシと音を立てて磨かなければ、汚れは落ちないし、磨いた気もしなかったのです。しかし、歯科検診で歯の根元が少し削れていることを指摘され、私の歯磨きが「やりすぎ」であることを知りました。歯科衛生士さんから指導されたのは、「とにかく力を抜いてください」という、今までの私とは正反対のアドバイスでした。最初は戸惑いました。ペンを持つように軽く歯ブラシを握り、そっと歯に当てるだけのブラッシングは、あまりにも頼りなく感じられました。本当にこれで綺麗になるのだろうか、と。しかし、言われた通りに力の抜けた歯磨きを続けてみると、少しずつ自分の口の中に良い変化が起きていることに気づき始めたのです。まず、磨いている最中に歯茎から血が滲むことがなくなりました。以前は、少し強く磨くとすぐに出血していたのが嘘のようです。そして、あれほど悩まされていた、冷たいものが歯にしみる感覚も、徐々に和らいできました。何より驚いたのは、力を抜いてゆっくり磨くことで、自分の歯の一本一本の形や、歯並びを意識できるようになったことです。今まで力任せに磨いていて見過ごしていた、磨き残しやすい場所がどこなのかが分かるようになり、より丁寧にケアできるようになったのです。磨き終わった後の爽快感も、以前のゴシゴシ磨きとは違う、優しくも確かなスッキリ感に変わりました。力を抜くことは、手抜きをすることではありません。むしろ、歯と歯茎を労りながら、より質の高いケアを行うための第一歩だったのです。今では、力を抜いた丁寧な歯磨きの時間が、一日の中で心落ち着くリラックスタイムの一つになっています。