口内をすっきりさせたい時、多くの人が思い浮かべるのは市販の洗口液、いわゆるマウスウォッシュかもしれません。ドラッグストアには様々な種類の製品が並び、殺菌効果や爽快感を謳っています。一方で、昔ながらの知恵として見直されているのが重曹うがいです。これらは似ているようで、その目的や成分、効果の現れ方には大きな違いがあります。市販のマウスウォッシュの多くは、殺菌成分を含んでいるのが特徴です。これにより、口の中の虫歯菌や歯周病菌を直接的に殺菌し、口内環境を清潔に保つことを目指します。また、強いミント系の香料が含まれているものが多く、使用後には強い爽快感が得られます。これは口臭を一時的にマスキングする効果も高いです。しかし、製品によってはアルコール成分を含んでおり、口の中が乾燥しやすくなったり、刺激が強すぎると感じたりする人もいます。また、強力な殺菌作用は、悪玉菌だけでなく口内環境に必要な善玉菌まで殺菌してしまう可能性も指摘されています。一方、重曹うがいは、殺菌を主な目的とはしていません。その最大の役割は、弱アルカリ性の力で、食事などによって酸性に傾いた口内環境を「中和」することです。これにより、歯が溶けるのを防ぎ、虫歯のリスクを低減させます。また、口臭の原因となる酸性物質を中和することで、臭いを元から軽減します。成分は炭酸水素ナトリウムと水だけなので、非常にシンプルでアレルギーなどのリスクも低く、自然な作用で口内環境を整えます。コストパフォーマンスの面でも、重曹うがいは圧倒的に有利です。どちらが良い悪いというわけではなく、それぞれに得意な分野があります。強力な殺菌を求めるなら市販のマウスウォッシュ、日々の食後のケアとして酸の中和を目的とするなら重曹うがい、というように、自分の目的や口の状態に合わせて賢く使い分けるのが良いでしょう。
市販マウスウォッシュと重曹うがい