キッチンでおなじみの重曹を使ったうがいが、手軽なオーラルケアとして注目されています。しかし、実際に試す前には、そのメリットだけでなく、いくつかの基本的な知識と注意点を理解しておくことが不可欠です。まず、重曹うがいの最大の特長は、酸性に傾いた口の中を中和する力です。食事によって酸性になった口内環境は、歯のエナメル質が溶け出す「脱灰」を引き起こし、虫歯のリスクを高めます。重曹の弱アルカリ性がこの酸を中和し、歯が溶けるのを防ぐ手助けをしてくれるのです。これは、口臭の原因となる酸性物質を分解する効果にも繋がり、口内を清潔に保つのに役立ちます。しかし、このケアを始めるにあたり、いくつか知っておくべきことがあります。一つは、重曹うがいが歯磨きの代わりにはならないという事実です。歯の表面に付着した粘着性の高いプラーク(歯垢)は、重曹うがいだけでは落とすことができません。あくまで、丁寧なブラッシングを補完する補助的なケアとして捉える必要があります。また、使用する重曹は必ず「食用」のものを選んでください。掃除用のものとは純度が異なり、口に入れるべきではありません。そして、重曹水の濃度も重要です。濃すぎると粘膜を刺激することがあるため、コップ一杯の水に小さじ半分程度という目安を守ることが推奨されます。さらに、重曹にはナトリウムが含まれています。高血圧などで医師から塩分摂取の制限を指導されている方は、うがいといえども体内に吸収される可能性がゼロではないため、事前にかかりつけの医師に相談するのが賢明です。これらの基本的な知識を持った上で、重曹うがいを正しく実践すれば、それはあなたのオーラルケアをより効果的なものにするための、信頼できる味方となってくれるでしょう。