屋外で過ごした後や、就寝中に、突然唇にチクッとした痛みやかゆみを感じ、気づくとその部分が赤く腫れ上がっていた。このような場合、犯人は蚊やブヨ、アブ、あるいはダニといった「虫」である可能性が考えられます。唇は顔の中でも特に皮膚が薄く、血管や神経が集中している非常に敏感な部分です。そのため、他の部位を刺された時と比べて、虫刺されによる炎症反応が強く、そして劇的に現れることがあります。虫が皮膚を刺す際、その唾液腺に含まれる様々な化学物質が私たちの体内に注入されます。体はこれを異物とみなし、アレルギー反応を起こしてヒスタミンなどを放出します。このヒスタミンの作用によって、血管が拡張して血液成分が漏れ出し、刺された部分が赤く腫れ、かゆみや痛みといった症状が引き起こされるのです。特に唇は組織が柔らかいため、わずかな炎症でも水分が溜まりやすく、パンパンに腫れ上がってしまうことがあります。腫れがひどいと、まるでたらこ唇のようになり、食事や会話に支障をきたすことも少なくありません。対処法としては、まず刺された部分を清潔な水で洗い流し、冷たいタオルや氷を包んだもので冷やすことが有効です。冷却することで、血管が収縮し、腫れやかゆみの広がりを抑えることができます。かゆみが強い場合は、市販の抗ヒスタミン薬やステロイド成分を含む軟膏を塗布するのも良いでしょう。ただし、掻きむしってしまうと、皮膚を傷つけて細菌感染(とびひなど)を引き起こす二次感染のリスクがあるため、絶対に掻かないように注意が必要です。ほとんどの虫刺されは数日で改善しますが、もし腫れが異常に大きい、痛みが激しい、あるいは息苦しさや吐き気など全身に症状が現れた場合は、ハチなどに刺された際のアナフィラキシーショックの可能性も考えられます。その際は、速やかに医療機関を受診してください。