口の中にできる厄介な口内炎ですが、特に上顎、つまり口の中の天井部分にできると、食事の際に食べ物が直接当たってしまい、非常につらい思いをします。頬の内側や舌にできる口内炎とは、少し原因が異なる場合があることをご存知でしょうか。上顎に口内炎ができる最も一般的な原因の一つが、物理的な刺激です。中でも多いのが「火傷」です。熱々のスープやコーヒーを急いで飲んだり、揚げたての天ぷらやグラタンなどを慌てて口に入れたりした際に、上顎の粘膜を火傷してしまうことがあります。この火傷した部分の粘膜が傷つき、そこから口内炎に発展するのです。また、硬い食べ物による刺激も原因となります。ポテトチップスやせんべい、フランスパンの硬い部分などが、知らず知らずのうちに上顎の粘膜を傷つけていることがあります。食事中にできた小さな傷が、数日後に痛みを伴う口内炎として現れるのです。さらに、意外な原因として、自分自身の歯が関係していることもあります。歯並びによっては、上の歯の先端が上顎の粘膜に慢性的に接触し、刺激を与え続けている場合があります。また、適合の悪い入れ歯や、古くなった被せ物の鋭利な部分が、上顎を傷つける原因となることも少なくありません。もちろん、一般的な口内炎の原因とされる、ストレスや疲労による免疫力の低下、ビタミン不足なども、上顎の口内炎を引き起こす引き金となります。これらの全身的な要因と、火傷や傷といった局所的な要因が組み合わさることで、つらい口内炎が発生するのです。もし上顎に口内炎ができた際は、最近熱いものを食べなかったか、硬いもので口の中を傷つけなかったかなど、ご自身の行動を振り返ってみると、原因の特定に繋がるかもしれません。