朝、鏡を見て愕然とする。昨日までは何ともなかったはずの唇が、まるで別人かのようにパンパンに腫れ上がっている。痛みやかゆみを伴うこともあれば、ただ腫れぼったい感覚だけのこともあるでしょう。このような「急な唇の腫れ」に遭遇した時、まず考えるべき原因の一つがアレルギー反応です。私たちの体には、外部から侵入してきた異物(アレルゲン)に対して、自身を守るための免疫システムが備わっています。しかし、この免疫システムが特定の物質に対して過剰に反応してしまうと、ヒスタミンなどの化学物質が放出され、血管が拡張したり、血管から水分が漏れ出したりして、皮膚や粘膜に腫れ、かゆみ、赤みといった症状が現れます。これがアレルギー反応の正体です。唇は、皮膚が非常に薄く、血管が豊富なデリケートな部分であるため、アレルギー反応の症状が特に現れやすい場所と言えます。唇の腫れを引き起こすアレルゲンは多岐にわたります。代表的なのは、特定の食べ物です。そば、ピーナッツ、甲殻類、果物などが原因となることが多く、食べてから数分から数時間以内に症状が現れます。また、食べ物だけでなく、化粧品やリップクリームに含まれる成分、歯磨き粉、金属、植物、さらにはラテックス(ゴム)製品に触れることでも接触性皮膚炎として唇が腫れることがあります。これを専門的には「接触性口唇炎」と呼びます。思い当たる食べ物や、新しく使い始めた製品がないか、自分の行動を振り返ってみることが原因を特定する手がかりになります。アレルギーによる唇の腫れは、ほとんどの場合、原因物質から離れることで数時間から数日で自然に軽快しますが、中には注意が必要なケースもあります。もし、唇の腫れに加えて、息苦しさ、じんましん、めまい、腹痛など、全身に症状が広がっている場合は、アナフィラキシーという命に関わる重篤なアレルギー反応の可能性があります。この場合は、躊躇せず直ちに救急車を呼ぶか、医療機関を受診してください。