食事中にガリッという嫌な音がして、口の中から何か硬いものが出てきた。鏡を見ると、以前に治療した歯の詰め物や被せ物が取れてしまっている。そして、その歯が急に痛み出したり、水がしみたりして、パニックに陥ってしまう。これは、誰にでも起こりうる歯科のトラブルです。では、なぜ詰め物などが取れると、急に痛みを感じるのでしょうか。その理由はいくつか考えられます。まず、詰め物で覆われていた歯の内部、特に象牙質が露出してしまうためです。象牙質には神経につながる細い管が無数に通っているため、冷たい空気や水、食べ物などの刺激が直接神経に伝わりやすくなり、しみたり痛んだりするのです。これは知覚過敏と同じメカニズムです。次に、詰め物が取れた原因が、その下で進行していた「二次カリエス(虫歯の再発)」である場合です。詰め物と歯のわずかな隙間から細菌が侵入し、内部で虫歯が広がっていたのです。詰め物が蓋の役割をしていた間は症状が出にくくても、それが取れて虫歯が露出することで、急に強い痛みを感じるようになります。この場合、虫歯はすでに神経の近くまで進行している可能性が高いと言えます。さらに、詰め物が取れる際に、歯の一部が一緒に欠けてしまい、その衝撃で歯の神経が炎症を起こしてしまうこともあります。取れてしまった詰め物や被せ物は、もし手元にあっても、自分で元に戻そうとしないでください。細菌が付着していますし、無理にはめ込むと歯や歯茎を傷つける可能性があります。取れたものは念のため保管しておき、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。放置すると、露出した歯がさらにダメージを受けたり、虫歯が急速に進行したりするだけでなく、周りの歯が動いてきて噛み合わせが変わってしまうこともあります。一時的な痛みは、新たなトラブルの始まりでもあるのです。